試用期間中のクビ、実は法的にも厳しい条件があるため、泣き寝入りする必要はありません。正しい知識を持っていれば、適切に対処できます。
「試用期間中にクビって、そんなこと本当にあるの?」…残念ながらあります。ただし、知識があれば十分に対処できるケースがほとんどです。
結論:試用期間中であっても、企業は簡単にクビ(解雇)にすることはできません。試用期間は「お試し期間だから自由に解雇OK」ではないのです。正当な理由がなければ不当解雇にあたる可能性があります。
この記事では、試用期間中のクビの実態と対処法、次の転職への影響を詳しく解説していきます。困ったときはハローワークやdodaなどの転職支援サービスも頼りになります。

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試用期間中のクビは法律的にどう扱われるか
まず大前提として、厚生労働省の労働契約ページでも解説されている通り、試用期間中の解雇にも法律の縛りがあります。
- 試用期間も労働契約は成立している:試用期間だから解雇自由、ということはない
- 14日以上勤務した場合は解雇予告が必要:30日前の予告か、30日分の解雇予告手当の支払い
- 解雇には「客観的に合理的な理由」が必要:労働契約法16条
つまり、「何となく合わないから」「期待ほどではなかったから」程度の理由では、法的に有効な解雇はできません。
試用期間の法的位置づけを詳しく理解する
試用期間中の雇用関係は、法律上は「解約権留保付きの労働契約」と呼ばれます。これは「通常よりも広い範囲で解雇が認められる余地がある」という意味ですが、それでも正当な理由なしの解雇は認められません。
判例(三菱樹脂事件・最高裁昭和48年)では、試用期間中の解雇について以下の基準が示されています。
- 採用時には知ることができなかった事実が判明した場合
- その事実により、引き続き雇用することが適当でないと判断される場合
- その判断が客観的に見て合理的である場合
要するに、「入社してから初めてわかった重大な問題がある場合のみ解雇できる」ということです。面接で見抜けた程度の能力不足を理由に解雇するのは、法的に認められにくいのです。

試用期間中にクビになる主な原因
| 原因 | 解雇の正当性 | 詳細 |
|---|---|---|
| 経歴詐称が発覚 | 正当な理由になり得る | 学歴・職歴・資格の虚偽申告 |
| 重大な規律違反 | 正当な理由になり得る | 無断欠勤の繰り返し、ハラスメント、犯罪行為 |
| 著しい能力不足 | 条件付き(指導を尽くした上で) | 研修・指導を受けても改善の見込みがない場合 |
| 協調性の欠如 | 条件付き(注意指導が前提) | チームワークを著しく乱す行動 |
| 健康上の問題 | 限定的 | 業務遂行が明らかに不可能な場合のみ |
| 企業の都合(業績悪化) | 整理解雇の要件を満たす必要あり | 試用期間中でも整理解雇の4要件が必要 |
「能力不足」を理由にされた場合の注意点
試用期間中のクビで最も多いのが「能力不足」を理由とするケースですが、これが認められるためには企業側にも厳しい条件があります。
- 十分な研修・教育を行ったか:入社直後で研修もなしに「能力不足」と言われた場合、企業側に問題がある
- 改善の機会を与えたか:具体的にどこが問題なのかフィードバックし、改善のチャンスを与えたか
- 改善のための時間は十分だったか:入社1週間で「能力不足」は時期尚早と判断される可能性が高い
- 客観的な評価基準があったか:主観的な「期待外れ」ではなく、具体的な業務目標に照らして判断されたか
これらの条件を満たさない「能力不足」解雇は、不当解雇として争える可能性があります。
試用期間中にクビを言い渡された時の対処法
対処法1:解雇理由を書面で確認する
口頭で「辞めてほしい」と言われたら、必ず書面(解雇理由証明書)を求めましょう。労働基準法22条により、企業は労働者の請求があれば解雇理由証明書を交付する義務があります。書面を求めるだけで企業側が撤回するケースもあります。
解雇理由証明書を請求する際は、以下のような文面をメールで送ると良いでしょう。
「○月○日にお話しいただいた件について、労働基準法第22条に基づき、解雇理由証明書の交付を請求いたします。なお、法律上、遅滞なく交付する義務がございますので、早急なご対応をお願いいたします。」
対処法2:「退職勧奨」と「解雇」を区別する
「もう辞めた方がいいんじゃない?」は退職勧奨であり、解雇ではありません。退職勧奨は拒否できます。安易に「わかりました」と同意しないことが大切です。同意してしまうと「自己都合退職」扱いになり、失業保険の待機期間が長くなります。
| 項目 | 解雇 | 退職勧奨 |
|---|---|---|
| 性質 | 企業の一方的な意思表示 | 退職を「お願い」する行為 |
| 拒否 | 不服申立て可能 | 拒否可能 |
| 失業保険 | 会社都合(待機7日) | 合意退職の場合は自己都合扱いのリスクあり |
| 退職金 | 規定による | 上乗せ交渉の余地あり |

対処法3:労働基準監督署に相談する
解雇に納得できない場合は、最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。無料で相談でき、企業への指導もしてもらえます。
労働基準監督署に相談する際に準備しておくべき書類は以下の通りです。
- 雇用契約書(労働条件通知書)のコピー
- 就業規則(手元にあれば)
- 解雇を告げられた際のやり取りの記録(メール、メモ)
- タイムカードや勤務記録のコピー
- 給与明細
対処法4:弁護士に相談する
不当解雇の可能性がある場合、労働問題に強い弁護士に相談しましょう。初回相談無料の事務所も多いです。解雇無効の訴えが認められれば、バックペイ(未払い賃金)の請求も可能です。
弁護士費用の目安としては、着手金20〜30万円、成功報酬は獲得額の15〜30%が相場です。「法テラス」を利用すれば、資力が一定以下の方は弁護士費用の立替制度が使えます。
対処法5:退職届にはサインしない
会社から退職届を出すよう求められることがありますが、解雇なのに自己都合退職にされるのは不利です。納得できない場合はサインしないでください。
解雇と退職勧奨は全くの別物です。「自分から辞めます」と言ってしまうと、会社都合退職ではなく自己都合退職扱いになり、失業保険の受給条件が不利になります。焦らず慎重に判断しましょう。
試用期間中のクビは次の転職に影響する?
正直に話すべき?隠すべき?
短期間の在籍は履歴書に書かなくても法的に問題はありませんが、社会保険の記録から発覚する可能性はあります。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 正直に記載する | 後からバレるリスクがない、誠実さが伝わる | マイナスイメージを持たれる可能性 |
| 記載しない | 不利な印象を避けられる | 社会保険の記録から発覚するリスク |
記載する場合は「企業の方向性と自分のキャリアプランの不一致」のように、前向きな表現で説明しましょう。
面接での具体的な伝え方
もし面接で試用期間中の退職について聞かれた場合、以下のような伝え方が効果的です。
- NG例:「クビになりました」「上司と合いませんでした」「会社がひどかったんです」
- OK例:「入社後に業務内容が想定と異なることがわかり、早い段階でキャリアの方向性を見直す判断をしました」
- OK例:「実際の職場環境と自分の志向するワークスタイルにギャップがあり、お互いにとって早期に判断した方が良いということになりました」
ポイントは前職の悪口を言わないことと、自分なりに学びがあったことを伝えることです。「短い期間ではありましたが、○○という経験を通じて、自分に合う働き方がより明確になりました」のように前向きにまとめましょう。

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試用期間中のクビで利用できる支援制度
試用期間中にクビになった場合でも、利用できる支援制度があります。知っておくだけで行動の選択肢が広がります。
| 支援制度 | 内容 | 条件 |
|---|---|---|
| 失業保険(雇用保険) | 失業中の生活費支援 | 雇用保険加入期間6ヶ月以上(会社都合の場合) |
| 未払い賃金立替制度 | 未払い賃金の立替払い | 事業主が賃金を支払えない場合 |
| 総合労働相談コーナー | 労働問題全般の無料相談 | 誰でも利用可 |
| 法テラス | 弁護士費用の立替 | 資力が一定以下の場合 |
| 職業訓練(ハロートレーニング) | スキルアップのための無料研修 | ハローワークの受講指示を受けた場合 |
試用期間中のクビを防ぐために
- 入社後の最初の1ヶ月は「適応力」を全力で見せる
- わからないことは積極的に質問する
- 報連相を徹底する
- 社内のルール・文化を早期に理解する
- 期待値を上司と早めにすり合わせる
入社1ヶ月目にやるべきことチェックリスト
試用期間を無事に乗り越えるために、入社後1ヶ月以内に以下のことを意識的に行いましょう。
- 上司に「1ヶ月後の期待値」を具体的に確認する
- チームメンバー全員と1対1で話す機会を作る
- 業務のマニュアルや手順書を読み込む
- 自分の業務進捗を週1で上司に報告する
- ランチや休憩時間を利用して社内の人間関係を構築する
- 困ったことがあれば早めに相談する(抱え込まない)

よくある質問(FAQ)
Q1. 試用期間中に自分から辞めた場合も「クビ」になる?
自分から辞めた場合は「自己都合退職」です。解雇とは異なります。ただし、実質的に辞めるよう追い込まれた場合は「退職強要」として争える可能性があります。
Q2. 試用期間中のクビで失業保険はもらえる?
雇用保険に加入していた期間が離職前2年間に12ヶ月以上(会社都合なら6ヶ月以上)あれば受給可能です。試用期間が短い場合は、前職の雇用保険期間と合算できることもあります。
Q3. 試用期間を延長すると言われたが合法?
就業規則や雇用契約書に「試用期間の延長がある」旨の記載があれば合法です。記載がない場合の一方的な延長は認められないことが多いです。
Q4. 試用期間中のクビで退職金はもらえる?
多くの企業では試用期間中は退職金の対象外です。ただし、解雇予告手当(30日分の賃金)は、14日以上勤務していれば請求できます。
Q5. 試用期間中にクビにされそうなサインは?
仕事を振られなくなる、面談の頻度が増える、「向いてないんじゃない?」と言われる、他の社員から距離を置かれる、などがサインです。早めに上司と話し合い、改善策を確認しましょう。
Q6. 試用期間は何ヶ月が一般的?
3ヶ月が最も一般的で、次いで6ヶ月です。法律上の上限はありませんが、あまりに長い試用期間(1年以上など)は合理性を問われる可能性があります。
Q7. 試用期間中でも残業代は出る?
もちろん出ます。試用期間中であっても労働基準法はフルに適用されます。残業代の未払いがある場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
まとめ
試用期間中のクビは、法律上も簡単にはできないもの。知っておくべきポイントは以下の通りです。
- 試用期間中も労働契約は成立しており、正当な解雇理由が必要
- 14日以上勤務なら解雇予告が必要
- 退職勧奨と解雇は違う、安易に同意しない
- 解雇理由証明書を必ず請求する
- 納得できなければ労基署や弁護士に相談
- 次の転職では前向きな説明ができるよう準備する
- 失業保険や法テラスなどの支援制度を活用する
試用期間中のクビは辛い経験ですが、正しい知識と対処法を持っていれば、ダメージを最小限に抑えて次に進めます。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切です。まずは冷静に状況を整理し、自分にとって最善の選択肢を見つけていきましょう。
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